
🟢変わり果てた姿の妻から逃げるいざなき
いざなきは、腐乱して面影もない妻のいざなみを見て、大慌てで逃げました。「覗いてはダメ」という約束を破ったいざなきにいざなみは怒ります。
いざなみはよもつしこめに後を追わせました。
🟢よもつしこめを食べ物であざむく
いざなきは、髪につけていた黒御蔓(くろみかずら)というつる草を投げつけると、山ぶどうの実が生えました。よもつしこめが山ぶどうをガブガブ食べている隙にいざなきは逃げます。
再び追いつかれ、次に髪に挿していた神聖な櫛の歯を折って投げます。するとそこからたけのこが生えました。よもつしこめがたけのこを引き抜いて食べている隙に、いざなきはさらに逃げました。

あとがき
漫画を描いていると、エピソードや登場する神はもちろん、細かいアイテムにも向き合う時間が多くなります。
さらっと参考資料通りに漫画を描けばいいのですが、ついつい「あれ?」と気になる部分が出てきます。
今回は、特にそういった引っ掛かりが多かったです。
このアイテムは何を表しているのだろう?と調べるのですが、はっきりとわからないことが多くて、色んな説や可能性を頭の隅に想像しながら描きました。
🟩黒御蔓(くろみかずら)
つる草の一種の植物であるというところまではわかっているのですが、いざなきがどのように用いていたのかまでは明確にわかっていません。
編んで冠のように被っていたのか、髪を束ねていたのか。頭に巻いていたのか。
私の漫画では、かんざし以前の原始的で自然素材の髪留めのイメージを採用しています。
黒御蔓(くろみかずら)がただの植物ではなく「強い生命力の象徴」かもしれない。または、どこかの一族や集団を表現しているのかも・・・など考えすぎるとキリがないのが神話の世界ですね。
🟩櫛(くし)
櫛は大切なアイテムだったのでしょうね。古事記の文脈だと重い存在感を放っているように感じます。ただの身だしなみ道具ではなく、身体・魂・生命に触れる、半ば霊的な道具だったと思います。乱れを正す、という視点で見れば、穢れを祓うという役割を持っていたのかも。生きている側の秩序を象徴していて、死・腐敗・無秩序な黄泉の国に対立するアイテムとして最強だったと言えます。
さらに、常に身につける、他人と共有しない、極めて個人的なもので、いわば自分の一部。それを切り離してでも逃げなければならない切迫した状況であったということがわかりますね。
🟩山ぶどう
急に魔法のようにぶどうが出てきました。初めて古事記を読んだとき「急にぶどう?急すぎない?なんでぶどう?」とずっと引っかかっていたのですが、意外とここが気になっている人は古事記好きに少ないのか、全然情報がありません。
ぶどうを持ち込んだ集団を表しているのか。地域を示すヒントなのか。誰かご存知の方がいたら教えてください。たくさんの粒で一房を構成し、一粒の味が濃い。よもつしこめを夢中にさせるほど惹きつける魅力がある存在。
🟩たけのこ
ぶどうと同じく、なぜたけのこ。
たけのこといえば成長の速さ。生命力の象徴という点では、死を表す黄泉の国とは真逆の存在ですよね。一気に伸びる。そして地下茎でつながり群れで生える。切っても生える。枯れにくい。たけのこ美味しいですもんね。

